· 白書,調査レポート

アルバイト離職白書

昨今、アルバイトの人手不足が深刻化し、さらに採用したアルバイト人員が早期に離職する等の定着率の問題は、企業にとって大きな痛手となっています。そこで、この度、人事科学研究所では、アルバイトの離職理由や、定着率向上のための打ち手や対策を模索するため、アルバイトの離職に注目した調査を複数実施し、その結果を「アルバイト離職白書」として公開いたしました。

目次

5人に2人が「ばっくれたい」と思ったことがある

5人に1人が実際に「ばっくれ経験」あり

アルバイト就労経験のある10,026人を対象に、いわゆる「ばっくれ」に関する実態を調査しました(*1)。

まず、「私は、これまでに、このまま何も連絡せずにアルバイトを辞めてしまおうと思ったことがあるか」という質問をしたところ、「あった」「よくあった」と回答した人の合計は43%にのぼりました。おおよそ5人に2人は、アルバイトをばっくれようと考えことがあるようです。

続いて、「これまでにアルバイト先に連絡せず、突然にアルバイトを辞めたことはありますか?」と実際の「ばっくれ」経験を尋ねました。その結果、17%もの人が1回以上「ばっくれた」ことがあるとわかりました。

満足していても、アルバイトをつなぎとめられない?

アルバイトを辞めたいと思ったことがある人は半数以上

現在アルバイトをしている学生500人に、アルバイトの定着に関するヒントを探るアンケートを実施しました(*2)。まず、ばっくれではなく、「今のアルバイト先を辞めたいと思ったことがありますか?」という離職意図について尋ねたところ、53.8%が「ある」と回答しました。半数以上の人が、一度は辞めてしまいたいと思ったことがあるということが分かります。

今のアルバイトに満足している人は6割以上

続いて、仕事への満足度を尋ねたところ、「今の仕事(アルバイト)に満足している」と答えた人は66.2%に。過半数を超える人が、現在のアルバイトに満足しているという結果になりました。

「辞めたい」という思う経験と、満足度の関係は小さい?

アルバイトに対する満足度、離職したいという気持ちに関係はあるのでしょうか。

今のアルバイトに満足していると答えた人のうち「アルバイトを辞めたいと思った瞬間がある」と回答した人は52%で、今の仕事に満足していないと回答した人の中では57%でした。つまり、アルバイトの満足度と、離職したいという気持ちには大きな関係性が見られませんでした。

どうやら、単純に、仕事に満足していれば定着してくれる、といったわけではなさそうです

アルバイトの離職を防ぐには、満足度よりも

「ちょうどいい業務量」「退屈に感じさせないこと」が有用?

それでは、離職を防止するには、どんな要因に注目すべきなのでしょうか?

続いて、「仕事をどのように捉えているのか?」といった要因に注目してみます。

まず、�「私の仕事は一人で行うには多すぎる」という答えた人は、約40%の人が忙しさを感じていることがわかりました。

続いて、忙しさと離職したいという気持ちの関係を見てみます。

「私の仕事は一人で行うには多すぎると思う」と答えた人のうち「これまでに、今のアルバイトをやめてしまいたいと思った瞬間がある」と答えた人は71.1%。一方で、「私の仕事は一人で行うには多すぎると思わない」と答えた人では、42.1%という結果になり、2つのグループには大きな差が見られました。離職衝動を抱かせないためには、適切な業務量の設計が鍵になるかもしれません。

しかし、単に仕事が少なければいい、というものではなさそうです。

続いて、「退屈さ」に注目してみます。まず、「アルバイト勤務中に、退屈さを感じることがある」と答えた人は、53.8%でした。

続いて、退屈さと離職したいという気持ちの関係を見ていきます。

「アルバイト勤務中に、退屈さを感じる」と答えた人のうち「これまでに、離職したいという気持ち今のアルバイトをやめてしまいたいと思った瞬間がある」と答えた人は65.8%。「アルバイト勤務中に、退屈さを感じない」と答えた人では39.8%に。

先ほどは「忙しすぎる」と離職したいという気持ちが高いという結果でしたが、同時に、「退屈さ」も離職を招く大きな要因として認識する必要がありそうです。

アルバイターに定着してもらうためには、

ジョブクラフティングが効果的かもしれない

以上の調査の結果から、仕事量の多さと仕事中の退屈さが少なからずアルバイトの離職衝動に

影響を及ぼしているのではないか、といったことまでは分かりましたが、「それでは実際にどういった対策を取れば良いの?」という疑問が残ってしまうので、その部分を解決するために有効で

な「ジョブクラフティング」といったテクニックを紹介しようと思います。

ジョブクラフティングとは、いわば退屈な仕事を好きになるための心理学のテクニックで、仕事の取り組み方を変えることで、作業のモチベーションを高めようというものです。

医療職を対象に複数あるジョブクラフティングのテクニックの効果を比較したオランダ・アイントホーフェン工科大学のGordonらのチームによる2018年の研究によれば、シーキング・チャレンジというテクニックの効果が大きいとされています。

シーキング・チャレンジとは、今までにチャレンジしたことがない作業に新しく取り組んでみるといったものです。業務内容を大きくかえることは難しいかもしれませんが、販売業であれば「今日は、お客さんの目を見て接客をしてみる」ことや、「いつもは掃除しない箇所も、綺麗にしてみる」など、見渡してみると色々と新しい挑戦は転がっています。「今日は、どんな新しいことに取り組んでみる?」と出勤時に数分でいいので、話しかけてみるといいかもしれません。

次回は「アルバイトの声」をお届け

現在、アルバイトの「離職」「やりがい」にまつわる「言葉」に注目した調査結果の報告準備中です。

「人事科学メルマガ」(無料)にご登録いただた方には、いち早くお届けします。

参考論文

Heather J. Gordon, Evangelia Demerouti, Pascale M. Le Blanc,

Arnold B.Bakker, Tanja Bipp, Marc A.M.T. Verhagen

“Individual job redesign: Job crafting interventions in healthcare”

Journal of Vocational Behavior 104 (2018):

98-114.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S000187911730060X#!

 

調査概要

*1 アルバイト就労経験のあるバイトルユーザ10,026名を対象

*2 アルバイト就労中の学生500名を対象(調査機関:楽天インサイト)

報告者

高木 祐輝(人事科学研究所・研究員)https://www.wantedly.com/users/69015986

永井 明日美(人事科学研究所・研究員)

All Posts
×

Almost done…

We just sent you an email. Please click the link in the email to confirm your subscription!

OKSubscriptions powered by Strikingly